【新コラム連載】絵本の紹介をします

2025年1月から会員様向けニュースレターで新しいコラムの連載がスタートしました!

詩人・朗読家の詩村あかね(うたむらあかね)さんに絵本を紹介していただくコラムです。

ブログでも第一弾をご紹介します。


はじめまして

今月から絵本のコラムを担当させていただきます詩村あかねと申します。

初回のコラムですので、簡単に自己紹介をさせていただきます。

普段は詩人や朗読家として活動していまして、子どもたちに良書を手渡す活動は25年前に始め、それ以降、小学校や地域での読み聞かせ活動、絵本に関する講座の開催、親向けのブックトーク*を行うなど、長きに亘り本に関わる活動をしてきました。

私には現在30歳を越えた息子が二人おりますが、彼らには0歳(実際は胎教として胎児の頃)から小学校高学年まで3,000冊以上の児童書を読み聞かせてきました。結果として、絵本のお蔭で子どもたちの語彙力や表現力が育ち、また親としても、楽しく豊かな時間を過ごせたと感じています。

児童詩集や言葉遊び集を読み聞かせると、子供はリズム感のある言葉はすぐに覚えて、日常の何気ない瞬間に歌うようにそらんじます。好きな絵本は何度でも聞きたがります。そうしているうちに「それってなんで?」と絵本の事柄を質問することが増え、「なんでかなぁ?」なんてはぐらかしていると、私が考え付かないような発想が飛び出してきて驚かされることが度々ありました。

物語絵本や童話では喜怒哀楽を素直に口にします。涙を流したり声をあげて笑ったり、真剣に怒ったり。言葉を聞いて想像する子どもの世界には無限の広がりがあります。そこで体験するものは他者から与えられたものではなく、子ども独自の世界です。その想像体験が息子たちの「読む・書く・話す」の土台を作ったように感じるのです。  

子どもの持つ好奇心と想像力の無限さに瞠目した私は、近隣に住む親御さんとも豊かな時間を共有したいと思い、親向けの児童書ブックトークの会を始めました。参加者には仕事をお持ちの方も多かったのですが、寝る前の一冊でもよいので読み聞かせを…とおすすめしました。その後、直接子どもたちに本を届けたくなり、本格的に読み聞かせの会を作り活動を開始しました。毎週のように訪れた小学校でも、子どもの聞く力と表現力の成長の速さに驚かされてばかりでした。

現代社会には子どもを魅了する情報メディアやアイテムはたくさんあり、そのどれもが、これからを生きる子どもにとって有効なものだと思います。その中でも、テキストと絵だけのシンプルな絵本の世界には、無限の想像と体験を許容する懐の深さがあると考えています。今回、Magic key様から、皆様に発信させていただける機会を頂戴しましたので、今後、子どもだけでなく、大人も楽しめる絵本をご紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

*ブックトークとはテーマに沿って何冊かの本を順に紹介し、子どもたちに紹介した本や読書への興味を持たせる方法・技術のこと。

【今月の推し本】親子で読みたい詩集

(1)『空の絵本』長田弘・作 荒井良二・絵(講談社)

詩人の長田弘さんによる、おやすみの前に親子で味わいたい一篇。

移り変わる空の色彩もご堪能ください。

(2)『ふじさんとおひさま』谷川俊太郎・詩 佐野洋子・絵(童話屋)

日本を代表する詩人、谷川俊太郎さんによる幼年詩集。佐野洋子さんのパワフルな絵にも魅了されます。幼児期から親子でどうぞ。

(3)『幼い子の詩集パタポン』①~③(童話屋)

若山牧水からA・A・ミルンまで。子どもの心を躍らせてくれる名詩がいっぱい。全3巻の優れた選詩集。

筆者:詩村あかね(うたむらあかね)1963年東京生まれ。詩人・朗読家。

第16回「詩とメルヘン賞(サンリオ文化賞)」、第41回「埼玉文学賞」詩部門正賞、第14回「白鳥省吾賞」最優秀賞、資生堂ウェブ「花椿」年間賞他、詩での受賞歴多数。

第一詩集『風が運べないものたちへ』(サンリオ)、電子版詩集『鳥のいる場所』(RANGAI出版)など。1999年より「子どもと本の会・MOMO」主宰。小学校や児童館で読み聞かせ。各地で子ども向けおはなし会や親子イベント、絵本講座、大人向け朗読会を開催。